オンラインと実店舗の在庫、別々に数えていないか — 一元化の考え方と道筋

オンラインと実店舗の在庫、別々に数えていないか — 一元化の考え方と道筋

更新日: 2026-07-30特集・コラム

閉店後、店舗の売上を見ながらECの在庫数を手で直す。棚卸しのたびに数字が合わず、犯人探しで半日消える。ECで品切れ表示の商品が、店舗のバックヤードには積んである——。ECと実店舗を両方持つ事業では、この「在庫の二重帳簿」状態が珍しくありません。担当者の丁寧さでは解決しない構造の問題であり、放置すると人件費と売り逃しの両方で払い続けることになります。何が起きているのか、Shopifyの標準機能でどこまで解けるのか、道筋を整理します。

在庫の分断が生む3つのコスト

コスト何が起きるか気づきにくい理由
手作業毎日の在庫数の転記・突き合わせ・棚卸しの差異調査「閉店後の30分」として日常に溶けている
売り越し実在庫がないのに注文を受け、キャンセル・謝罪対応が発生件数が少ないと「たまのミス」として処理される
機会ロス店舗にはある商品がECで品切れ表示になり、売り逃す売れなかった注文は記録に残らない

特に3つ目は、損失がどこにも記録されないのが厄介です。ECの品切れ表示を見て去った顧客は、数字に痕跡を残しません。在庫一元化の投資判断では、手作業の人件費だけでなく、この見えない売り逃しまで含めて考える必要があります(見えないコストの考え方は計算方法の記事で扱っています)。

Shopify標準機能でどこまでできるか

意外に知られていませんが、Shopifyは複数の保管場所(ロケーション)ごとに在庫を分けて管理する機能を標準で備えています。オンライン用倉庫・実店舗・イベント在庫などを場所として登録し、どの注文をどの場所の在庫から引き当てるかを管理できます。

さらに実店舗のレジをShopify POSにすると、店舗のレジ売上とECの注文が同じ商品データ・同じ在庫数を参照するようになり、「売れたら両方の在庫が自動で減る」一元管理が標準機能の範囲で成立します。実店舗が1〜数店舗で、レジの入れ替えに障害がなければ、これが最も構造がシンプルな解です。

既存のレジ・基幹システムを使い続ける場合

「レジは替えられない」「基幹システムに在庫の正がある」という事情がある場合は、既存システムとShopifyの在庫を同期する連携アプリ・連携開発が選択肢になります。この道を選ぶときの確認点は3つです。

  • 同期の方向と頻度:どちらの数字が「正」で、何分おきに反映されるか(頻度が低いと、その間の売り越しリスクは残る)
  • 例外の扱い:返品・取り置き・破損・店舗間移動が、同期にどう反映されるか
  • 障害時の運用:同期が止まったとき、誰がどう気づき、手動運用に切り替えられるか

一元化までの3段階

  1. 在庫の「正」を決める:どのシステムの数字を正とするか。ここが曖昧なまま道具を入れると、二重帳簿が三重になるだけです
  2. 標準機能で寄せられるか検討する:ロケーション+POSで足りるなら、追加費用も分断も最小で済みます
  3. 寄せられない事情があるなら連携で同期する:上の3つの確認点を満たす連携を選び、例外運用をドキュメント化します

一元化した在庫データは、それ自体が施策の材料になります。「在庫が残っている商品の再入荷通知」「店舗在庫のある商品を近隣顧客に案内」のような在庫×顧客の横断シナリオは、在庫データが1か所にまとまって初めて組めるものです。一元化は業務効率の話で終わらず、打てる施策の幅を広げる投資でもあります。

よくある質問

在庫追跡とは何ですか?

Shopifyで商品ごとに「在庫数を数えて管理する」設定のことです。在庫追跡を有効にすると、売れるたびに在庫数が減り、ゼロになれば品切れ表示にできます。一元管理の前提となる基本設定です。

在庫切れでも販売を続けることはできますか?

できます。商品ごとに「在庫切れでも販売を続ける」設定があり、受注生産や取り寄せ商品に使われます。ただし実在庫と設定の不一致による売り越しの原因にもなるため、対象商品は絞って管理するのが安全です。

複数店舗でも一元管理できますか?

できます。ロケーションを店舗ごとに登録すれば、店舗別の在庫数をShopify上で分けて持てます(登録できる数は契約プランによって上限があります)。店舗間の在庫移動も記録できます。

棚卸しの数字が合わないのですが。

差異の原因は、同期のタイムラグ・例外処理(返品・破損・取り置き)の記録漏れ・手作業の転記ミスが典型です。差異そのものより「どの例外がどこに記録されるか」のルールを先に整えると、原因の特定が速くなります。

在庫まわりの手作業、月何時間かかっているか棚卸しする

在庫運用の現状(手作業・売り越し・品切れ表示の機会ロス)を一緒に棚卸しし、標準機能・連携・統合のどこまでが必要かを整理します(費用はかかりません)。

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まとめ

  • 在庫の分断は手作業・売り越し・記録に残らない機会ロスの3つのコストを生む。担当者の丁寧さでは解決しない構造の問題。
  • Shopifyはロケーション機能+POSで、ECと実店舗の在庫一元管理が標準機能の範囲で成立する。既存システムを残す場合は、同期の方向・頻度・例外・障害時運用を確認して連携する。
  • 順序は「正」を決める→標準機能で寄せる→ダメなら連携。一元化した在庫データは、在庫×顧客の横断施策の材料にもなる。

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最終更新
2026-07-30

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