Shopifyで売れない — 原因は4段階のどこかにある。手を打つ場所の決め方

Shopifyで売れない — 原因は4段階のどこかにある。手を打つ場所の決め方

更新日: 2026-07-30特集・コラム

月例会議で「今月も目標未達です」と報告が上がる。対策の議論は「広告を増やすか」「SNSをもっとやるか」と広がっていくが、よく考えるとどこで顧客を逃しているのかは誰も数字で確かめていない——。売れないときにまず必要なのは新しい施策ではなく、原因の場所の特定です。医者が検査の前に薬を出さないのと同じで、詰まっている場所が分からないまま打ち手に予算を付けると、効かない場所にお金を使い続けることになる。4段階の切り分けの見方、自分のストアの数字での確かめ方、そして予算と人手の配分の決め方。この3つを順にほどいていきます。

「売れない」には4つの別の原因が混ざっている

顧客が買うまでの流れを4段階に分けると、それぞれの段階に固有の「詰まり方」があります。同じ「売れない」でも、原因の段階が違えば、効く打ち手はまったく別物です。

段階何が起きているか典型的な症状
① 集客ストアに人が来ていないアクセス自体が少ない。何を変えても反応がない
② 回遊来たが、商品を見ても買う気にならないアクセスはあるのにカートに入らない
③ カゴ落ちカートに入れたのに、支払いの前に消えたカート追加はあるのに注文にならない
④ リピート一度買ったきり、戻ってこない新規は取れるが売上が積み上がらない

たとえば「広告を増やす」は①の打ち手です。もし実際の詰まりが③のカゴ落ちにあるなら、広告費で連れてきた人もカートで同じように消えていきます。広告費を増やしたのに売上が伸びない、というよくある失敗の多くは、詰まりの場所と打ち手の場所がずれていることが原因です。

自分のストアの数字で「どこが詰まっているか」を確かめる

4段階のどこが弱いかは、感覚ではなくShopifyの管理画面の数字で確かめられます。ストア分析(旧・ストア分析レポート)には、セッション数からコンバージョン率の内訳(カート追加→チェックアウト到達→購入完了)までが最初から用意されています。

段階見る数字どこで見るか黄信号の目安
① 集客セッション数(訪問数)ストア分析の概要月間数千に届かない場合、下流を直しても売上の絶対額が出にくい
② 回遊カート追加率コンバージョン率の内訳アクセスはあるのにカート追加が極端に少ない
③ カゴ落ちチェックアウト到達〜購入完了コンバージョン率の内訳・放棄されたチェックアウトカート追加からの落ち込みが平均(後述の約7割)より大きい
④ リピートリピーター率ストア分析の顧客レポート新規頼みで、既存顧客の売上比率が伸びない

参考までに、ECサイト全体のコンバージョン率(訪問のうち購入に至る割合)は一般に1〜3%程度、カートに入れた後に買わずに離脱する「カゴ落ち」の割合は、海外の調査(Baymard Institute)で平均およそ7割とされています。業種や単価で大きく変わるため、絶対の基準ではなく「自分のストアの数字がどの段階で平均から大きく外れているか」を見るための物差しとして使ってください。

段階ごとの打ち手の方向性

詰まりの場所が特定できたら、打ち手はその段階に絞ります。代表的な方向性を挙げます。

集客が弱い — 母数を増やす

広告、SEO・コンテンツ、SNS、比較サイトへの掲載。ここは唯一「お金で直接買える」段階ですが、後述のとおり、下流に穴がある状態で足すと投資がそのまま漏れます。

回遊が弱い — 買わない理由を消す

商品ページの情報不足(サイズ・素材・使用シーンが分からない)、価格や送料が伝わるのが遅い、レビューがない、スマホで見づらい。カート追加率が低いストアは、たいてい商品ページで答えるべき質問に答えられていません。

カゴ落ちが多い — 最後のひと押しの障害を外す

送料が会計直前に判明する、会員登録を強制される、決済手段が少ない、といった障害の除去がまず先。そのうえで、放棄されたチェックアウトへのリマインドメールなどの追客が効きます。Shopifyには放棄チェックアウトの記録と標準のリマインド機能があり、追加費用なしで始められます。

リピートが弱い — 二度目の理由をつくる

購入後のフォローメール、再入荷・関連商品の案内、ポイントや定期購入。新規獲得の広告費が上がり続けている環境では、同じ売上を積むための費用は、新規よりリピートのほうが低くつくのが一般的です。

予算と人手をどこに使うか — 「下から塞ぐ」が原則

ここからが、施策の担当者ではなく予算と人の配分を決める立場の話です。4段階のどこに投資するかには、順序の原則があります。

原則:漏れている下流(③④)から塞ぐ。理由は単純で、①集客に足したお金は、③でカゴ落ちし④で一度きりで終わる構造が残っている限り、その穴の分だけ確実に漏れるからです。逆に、③④の改善は「すでに来ている・すでに買った人」からの回収なので、広告のように外部環境(入札単価・アルゴリズム)に左右されにくく、投資の返りが読みやすい。しかも一度直せば効き続ける、資産型の投資です。

例外:母数が絶対的に足りない場合は①が先。月間セッションが数千に届かない規模だと、カゴ落ち率を改善しても売上の絶対額が動きません。この場合だけは、下流の整備を最低限にとどめて集客に先に投資します。

状況先に打つ手投資の性質
アクセスも売上も少ない① 集客(+②の最低限の整備)広告費は使い続ける変動費。効果測定の仕組みを先に
アクセスはあるが売れない② 回遊 → ③ カゴ落ちの順で点検ページ改善・障害除去は一度直せば効き続ける
売れるが積み上がらない④ リピート既存顧客への施策は回収が読みやすい
どこが悪いか分からないまず4つの数字を並べる特定前に予算を付けない

配分を決める際の原則を3つにまとめます。

  1. 詰まりが数字で特定される前に、施策に予算を付けない。「とりあえず広告」は、詰まりが①にあると確認できてからの選択肢です。
  2. 下流の漏れを塞いでから、上流に足す。順序が逆だと、集客投資の一部が構造的に捨てられます。
  3. 打ち手の効果を測れる状態を先につくる。計測が壊れていると、どの施策も「効いた気がする」で終わり、次の配分判断がまた当てずっぽうになります。

この切り分けで見つからない原因もある

公平のために、4段階の切り分けの限界も書いておきます。商品そのものの競争力(価格・品質・独自性)の問題は、この方法では直接は見えない。②回遊の数字が悪いとき、原因がページの作りにあるのか商品力にあるのかは、数字だけでは区別しきれないことがあります。卸・実店舗が主でECは名刺代わり、という事業なら、そもそもこのファネルの発想が合いません。切り分けはあくまで「打ち手の場所を間違えないための地図」。商品と事業の根本の問いには、別の検討が必要です。

よくある質問

Shopifyは儲からないと聞きますが、本当ですか?

「儲からない」には2つの話が混ざっています。売上が立たない話(本記事の4段階の詰まり)と、売れても手数料・アプリ費用などの経費で利益が残らない話です。後者は売上ではなく費用構造の問題で、対処もまったく別。費用側の点検は見えないコストの計算方法で扱っています。

カゴ落ち率の平均はどのくらいですか?

海外の調査(Baymard Institute)では、ECのカート放棄率は平均およそ7割とされています。10人がカートに入れたら7人は買わずに離れる計算で、これ自体は異常ではありません。平均より大きく悪い場合や、放棄への追客を何もしていない場合に、改善余地が大きくなります。

BASEなど他のサービスと比べて、Shopifyだから売れない、はありますか?

プラットフォームの違いは操作性や手数料・拡張性の違いで、「売れる・売れない」を直接決める要因としては小さいのが実情です。同じ商品・同じ運用なら、どのサービスでも4段階の詰まり方はほぼ同じように起きます。乗り換えの検討より先に、詰まりの特定をおすすめします。

手を打ってから、どのくらいで売上に反映されますか?

段階によります。③カゴ落ちの障害除去や追客は、すでに来ている顧客への施策なので数週間単位で数字に出やすい一方、①集客のSEO・コンテンツは数か月単位が一般的です。効果が出る速さも「下から塞ぐ」原則が有利な理由の一つです(期間は目安であり、成果を保証するものではありません)。

どの段階で詰まっているか、データで特定する

ストアの数字を一緒に見ながら、4段階のどこが弱いか・どこから手を打つべきかを整理します(費用はかかりません)。

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まとめ

  • 「売れない」の裏には集客・回遊・カゴ落ち・リピートという4つの別の原因が混ざっており、効く打ち手は段階ごとに違う。まず詰まりの場所を数字で特定する。
  • 見る数字はセッション数・カート追加率・チェックアウト完遂・リピーター率の4つで、Shopifyのストア分析に最初から揃っている。特定は1時間かからない。
  • 予算と人手の配分は「下から塞ぐ」が原則。下流に穴がある状態の集客投資は漏れる。例外は母数不足のときだけ。詰まりが特定される前に施策へ予算を付けない。

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最終更新
2026-07-30

本記事はEC運用の一般的な考え方を解説するもので、特定の成果を保証するものではありません。「Shopify」はShopify Inc.の、「BASE」はBASE株式会社の商標・製品です。STAILOR Harnessは各社が提供・保証するものではありません。