
その売上、広告のおかげ? — 「マーケティングに起因する売上」の読み方
月次報告で売上のグラフを見せたら、役員から「このうち広告のおかげはいくら?」と聞かれた。あるいは部下から「マーケ起因売上って何を数えてるんですか」と聞かれた——。この指標は便利な入口ですが、数え方の仕組みを知らずに使うと、施策の効果を過大にも過小にも読み違えます。意味・見方・注意点の順で、報告にそのまま使える形に整理します。
どこで見られるか
Shopify管理画面の「マーケティング」セクションを開くと、概要としてマーケティングに起因する売上・注文数・セッションなどが表示されます。期間を切り替えれば、月次・週次の推移も確認できます。特別なアプリや設定は不要で、Shopifyの標準機能です。
何が「マーケティング起因」と数えられるのか
大づかみに言えば、次のような経路の注文が対象になります。
- UTMパラメータ付きのリンク経由:広告やメルマガ、SNS投稿に付けた計測用URL(utm_source などが付いたリンク)から訪れて買った注文
- Shopifyのマーケティング機能・連携アプリのキャンペーン経由:Shopify Emailで送った配信や、マーケティング欄に連携した広告アプリのキャンペーンから生まれた注文
逆に、検索で直接見つけて来た・ブックマークから来た・URLを直接打ったといった訪問は、マーケティング起因には数えられません。「どの訪問をどの施策に紐づけるか」の細かい判定条件(アトリビューション)はShopify側の仕様に従うため、厳密な条件は公式ヘルプの記載が優先です。実務上は「計測用リンクとキャンペーン経由の売上を、Shopifyのルールで束ねた数字」と理解しておけば読み違えません。
読み違えやすい3つの注意点
1. 「マーケのおかげの売上」そのものではない
この指標は「マーケ経由と判定できた売上」です。たとえばSNSの投稿を見て社名を覚え、後日検索して買った顧客は、実際にはマーケの成果でも「起因」には数えられません。逆に、もともと買うつもりだった常連がたまたまメルマガのリンクから入れば、数えられます。実際の貢献より大きくも小さくも出うる、と踏まえて読むのが正しい態度です。
2. UTMの運用が崩れていると、数字ごと崩れる
計測用リンク(UTM)を付け忘れた広告や、規則がバラバラなままのリンクが混ざると、本来数えられるはずの売上が漏れたり、出所不明に化けたりします。この数字が信用できるかは、リンク運用の規律で決まる——部下に確認すべきはまずここです。
3. 他のツールの数字とは一致しない
広告管理画面(Google広告など)やGA4が出す「コンバージョン」と、Shopifyのこの指標は、判定ルールも計測方法も違うため、基本的に一致しません。どれが正しいかではなく、役割の違う物差しが複数あると理解し、報告ではどの物差しの数字かを明記するのが混乱を防ぐ最短です。ツール間で数字が食い違う構造はデータ分断の記事で詳しく扱っています。
役員報告でこの数字を使うときの押さえどころ
「このうち広告のおかげはいくら?」に対しては、次の形が誠実で、かつ突っ込まれにくい答え方です。
- 入口の数字として提示する:「計測できている範囲で、マーケ経由の売上は◯円(売上全体の◯%)」
- 限界を一言添える:「認知経由で後日買った分は含まれないので、実際の貢献はこれより上振れしている可能性がある」
- 次のアクションにつなげる:「どの施策の効率が良いかはキャンペーン別の内訳で見ており、配分は◯◯を優先する」
数字の断定を避けつつ、判断は前に進める。指標の性質を知っていれば、この組み立てができます。
よくある質問
マーケティングに起因する売上が低いのは、施策が失敗しているということですか?
即断はできません。UTMの付け忘れで計測から漏れているだけの場合も、認知施策の効果が指名検索(=起因に数えられない経路)に出ている場合もあります。まずリンク運用の規律を確認し、そのうえでキャンペーン別の内訳を見るのが順序です。
GA4があれば、この指標は見なくてよいですか?
役割が違います。GA4は行動分析の自由度が高く、Shopifyのこの指標は注文・売上と直結した手軽さが強みです。日常の状況把握はShopify、深掘りはGA4、と使い分けるのが実務的です。
売上を上げる施策の優先順位は、この数字から決められますか?
この指標は集客施策の入口の評価には使えますが、売れない原因が集客以外(回遊・カゴ落ち・リピート)にある場合を見落とします。全体の詰まりの特定は売れない原因の切り分け方を参照してください。
マーケの数字、どこまで信用できる状態か点検する
計測の状態と売上の詰まりをあわせて確認し、どの数字で判断すべきかを一緒に整理します(費用はかかりません)。
無料のEC運用診断を見るまとめ
- 「マーケティングに起因する売上」は、計測用リンクやキャンペーン経由と判定された注文の売上合計。Shopify標準の入口指標。
- 実際の貢献より大きくも小さくも出うる。数字の信頼性はUTMリンク運用の規律で決まり、他ツールの数字とは一致しないのが正常。
- 報告では「計測できている範囲の数字+限界の一言+次のアクション」の3点セットで使う。
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- Stailor株式会社(Stailor inc.)
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- 最終更新
- 2026-07-30
本記事は一般的な解説で、指標の厳密な判定条件はShopify公式ヘルプの記載が優先します。「Shopify」はShopify Inc.の商標・製品です。「GA4(Googleアナリティクス)」「Google広告」はGoogle LLCの商標・製品です。STAILOR Harnessは各社が提供・保証するものではありません。